タイ不動産は2014年頃から日本でも販売されてきました。
当時はまだまだ情報も不足していて、販売する側も投資する側も正直よくわからなかった部分もあったと思います。そこから10年近くが経ちました。

この10年前後でタイも発展し、不動産価格も上昇していきました。
また当時購入された方も物件が完成して数年が経っています。

もちろんタイでもコロナの影響があったので、良い時も悪い時もあり決して順風満帆とは行かないかもしれません。

トラブルが多い物件?

しかし、この10年を見てみると、やはり昔に販売された物件で「これはちょっとマズイな」と思われる物件があるのも確かです。その点は長年東南アジアの不動産を見てきたからこそ比較対象として実感しています。

具体的には、「ローカル向けの郊外物件」「ローカル向けの管理」「ローカル企業が建てた物件」はハードルが高く、厳しい状況になると感じます。これはタイだけに限らないのですが、やはりタイは日本人にも人気の国ですから、多くの方がタイの不動産を購入されています。この時にバンコクの中心地で大手デベロッパーが建てた物件であれば、安心感もありますし、賃貸もつきやすいです。これは他国でも同様です。

昨今、タイにおける郊外物件のトラブルや相談が増えてきています。そのほとんどが「ローカル企業への不満」です。もちろん詐欺案件とかではありません。きちんと登記もできますし、現地の人たちは普通に住んでいます。要は「日本人と感覚が違いすぎる」事と「不動産会社に丸投げしている」事が根本原因です。

安い物件は安い物件なりに理由があります。高い物件は高い物件なりに理由があります。日本でも最近よく聞きますが、古くなった戸建てを買い取り、DIYをして利回りを追求するという手法がありますが、それで成功されている方はほぼ全て「自ら動いて自ら管理をして」います。だから成功されています。
これが海外の場合だとそう簡単ではありません。言葉の違い、商習慣の違い、宗教の違い、常識の違いなどなど前提条件が違いすぎます。この辺りはぜひご理解していただきたいと思いますし、まず何より入り口である購入時に気をつけていただければと考えます。

それらを踏まえてバンコク中心部の物件を見ていくと、やはり郊外のローカル向け物件とは残念ながら雲泥の差です。富裕層や外国人向けに作られた物件は高いですが、その値段の分だけ作りもしっかりしていますし、管理も非常に良いです。一方でローカル物件は管理という言葉があるのか?と思われるくらい適当だったりするので、本当に注意が必要です。

2023年のタイの不動産マーケット

さて、前置きはこのくらいにしておいて2023年のタイの不動産マーケットを少し振り返りたいと思います。

2023年はコロナの影響がほぼ無くなり、徐々に外国人観光客の数も増えてきました。
そして今年はタイの政権が変わった年でもあります。カンボジアでも首相が交代し、タイでも軍事政権からタイ貢献党のセター氏が新首相となりました。

ちなみに、このセター新首相はタイ不動産大手のサンシリ社を大きく成長させた方で「タイの不動産王」と言われた方でもあります。

さて、そんな新政権になったタイですが、経済状況は残念ながら良いとは言えません。
セター新首相になるまでに色々とごたついたこともあり国民の不信感もあります。

必死になって今いろんな経済対策を打っている、そんな状況です。
とはいえ、不動産マーケットはそこまで急変しているような状況ではありません。
住宅ローンの拡充や沿線開発が進んでいる中で、郊外の戸建て需要が増えており、また海外からの投資が少しずつですが増えてきている状況ですので、数年をかけて回復傾向に向かっていると想定されます。

また現地に行かれるとよくわかりますが、今バンコクにはBTS、地下鉄など10路線以上が走っており、もはや東京のようなメトロポリタンシティを形成しつつあります

今後のタイ不動産投資

今後タイに関しては、単純な不動産投資という意味では儲かりにくいと思いますが、インフラの向上、生活レベルの向上が大いに見込まれますので、ビジネス投資、移住といったファクターが出てきそうです。そして、急に上がったり下がったりするようなマーケットではないので、比較的安定的かつ着実な資産形成を考えられるような都市になっていくと予測されます。

これからタイを検討される方は、投資として儲かる・儲からないという判断軸ではなく、長期的視点に立った考え方が重要になってくると思います。
それこそ、日本以外の国で住みやすく、新たな移住先としての「日本+1」という考えがある方であれば、十分検討できるほどの都市に成長してきています。

バンコクには日本食、日本食レストランも数多くあり、また日本人も10万人近く住んでいます。
エリートビザを始め、海外から人を呼ぼうという考えも強い国ですから、単なる不動産投資だけに止まらないチャンスや可能性がこの国にはあると考えます。